【実録】パニック障害でもディズニーに行けた私の話|DASの使い方とリハビリ体験記

パニック障害闘病記

【はじめに】パニック障害でも「行きたい場所」があった

私はうつ病とパニック障害を抱えながら、外出もままならない日々を送っていました。
電車に乗るのが怖い、人混みにいると発作が出そうになる──そんな状態でも、「どうしてもディズニーに行きたい」と思う気持ちは不思議と消えませんでした。

パニック障害は「発作が起きたらどうしよう」という予期不安が強く、閉ざされた空間や長時間拘束される場所が苦手になります。
私にとってそれは、電車・バス・エレベーター・レジ・会議・映画館・そして…アトラクションの行列もそのひとつでした。

この記事では、

  • 発作に怯えながらもディズニーに挑戦した理由
  • 実際の失敗体験と、それでも得られた気づき
  • そして「DAS(ディスアビリティアクセスサービス)」という制度を使って、少しずつ楽しめるようになった過程

をお伝えしていきます。

「リハビリでディズニー?」と思う方もいるかもしれません。
でも私にとっては、できなかったことがひとつできるようになるための、小さな大きな一歩でした。


2. パニック障害と診断されるまでの経緯

パニック障害と診断される前、私は何年も体調不良を我慢しながら働き続けていました。

きっかけは、電車の中で突然息苦しくなり、発汗や吐き気が止まらなくなったこと。
途中下車しても体調は戻らず、出勤は命がけ。会議中に倒れて意識を失うこともありました。

それでも「まだ頑張れる」「ただの疲れ」と思って、無理を重ねていたんです。
そんな私を見かねた友人が、気分転換にと誘ってくれたのがディズニーでした。
けれど、そこからの帰り道、高速バスの中で呼吸困難に陥り、意識朦朧となる発作を起こしてしまいました。

その晩は一晩中痙攣が止まらず、「殺して」と叫び続けるほどの地獄のような時間でした。
この経験がきっかけとなり、私はようやく病院を受診しました。
そこで「パニック障害」「うつ病」と診断され、長い休職生活が始まります。

3. なぜディズニーだったのか?リハビリのきっかけ

休職してしばらく経ち、少しだけ体調が安定してきた頃。
私は「どこかに行きたい」「何か楽しいことがしたい」と思うようになっていました。

でも、新幹線も飛行機もバスも乗れない。人混みも怖い。
そんな私が「それでも行きたい」と思った場所がディズニーでした。

理由はシンプルでした。
・平日は空いている
・雰囲気が楽しい、音楽が心地よい
・屋外で気分転換になる
そして何より、「昔は楽しめていた場所」だったから。

病気になる前は、友達に誘われたらフットワーク軽く行っていた場所。
その「できていたこと」を、もう一度自分の力で取り戻したい。
それが、私のディズニーリハビリのスタートでした。

次のセクションでは、最初のディズニー挑戦と失敗の体験談をお伝えします。


4. 初めての挑戦|準備したこと・行けなかったこと

初めてのディズニー挑戦。
とにかく不安だった私は、行く前に入念な準備をしました。

私が準備したこと

  • レストランを事前予約(並ぶのが不安だったため)
  • すべてのアトラクションの所要時間を確認して、長いものは避ける
  • 救護室があることを何度も確認(“大丈夫”の呪文のように)
  • 水分と甘い飴を多めに持参(発作時の対策)
  • 体調が悪くなったらすぐ帰れるよう、ホテルも予約
  • DAS(ディスアビリティアクセスサービス)の事前調査

ここまでして「行きたかった」のです。
不安もあったけれど、**“できることを増やしたい”**という気持ちのほうが強かったから。

でも、結果は…

なんと、アトラクションには1つも乗れませんでした

一番ハードルが低そうだと思っていた「スカットルのスクーター」。
子どもも楽しそうに乗るアトラクションで、所要時間は1分30秒。
でも座った瞬間、「無理!だめだ!」とパニックが起き、急いで降りることに…。

唯一観られたのはアリエルのショー。
キャストの方が端の席を案内してくださり、なんとか観ることができました。
それでも心臓はバクバクで、何度も途中で出ようか迷ったほどです。

でも気づいたこと

この日、私はアトラクションに乗れなかったけれど、**「ディズニーはアトラクションがすべてではない」**と気づきました。
ショーやレストラン、音楽や雰囲気を感じるだけで、心が少しずつ前を向きました。

そして、「次はもう少し楽しみたい」と思えるようになったのです。


5. リベンジディズニー|乗れるアトラクションが増えた!

初めての挑戦から約4ヶ月後。
私は再びディズニーに行くことを決意しました。

今度は「ディズニーランド」へ

このときも親同伴で、しっかり準備をしていきました。
前回の反省から、以下の工夫をしました。

  • 所要時間の長いアトラクションは除外
  • 乗れそうなアトラクションをメモしておく
  • レストランとホテルを事前に予約
  • 前回と同じようにDASの利用も検討

少しずつ「できること」が増えた

この日はなんと、白雪姫・ピーターパンなど、子ども向けアトラクションにいくつか乗ることができました!

乗れたことが嬉しくて、涙が出そうになりました。
「前回は1つも乗れなかった自分が、今日はここまでできた」
──そう思えたことで、心がぐっと前を向いたのを今でも覚えています。

少しずつ、でも確実に前に進んでいる。
そんな実感を得られたリベンジディズニーでした。


6. DAS(ディスアビリティアクセスサービス)について

ディズニーには、障害や疾患のあるゲスト向けに「ディスアビリティアクセスサービス(DAS)」というサポートがあります。
このサービスに、私はとても救われました。


DASとは?

列に長時間並ぶことが困難なゲストが、グループ全員で別の場所で待機し、順番が来たら案内してもらえるサービスです。

  • 対象:障害者手帳などを持っている人
  • 方法:アトラクションの入口で登録(顔写真を撮影)
  • 待ち時間は「別の場所」で過ごせる(カフェ・ベンチなど)

私の活用方法

私は人に挟まれて列に並ぶことが難しいタイプの広場恐怖を持っています。
そのため、DASの存在は本当にありがたいものでした。

  • 障害者手帳とチケットを提示して登録
  • 登録時にアトラクションの待ち時間分を別場所で過ごせる
  • 時間になったら入口に戻るだけでOK

同行者(家族・友達)と一緒に待つこともできたので、安心感がありました。
「できなかったことができた」という自信にもつながりました。


DASは、身体や心の事情で並ぶのが難しい人にとっての「架け橋」だと思います。
勇気を出して使ってみて、本当に良かったと感じています。


7. 私なりの工夫|アイテムや心構えなど

ディズニーに行くとき、私は**「できないことがある前提」で準備**をしていました。
発作が出るかもしれない。でも、少しでも安心できるように工夫しようと考えていたんです。


実際に役立ったアイテム

  • 水分&ブドウ糖入りの飴:発作予防・脱水防止に。
  • ティッシュに染み込ませたアロマ:不安を感じたときのリラックス用。
  • ヘルプマーク:周囲への安心材料にも。
  • ホテル泊:無理せず休める環境があることが精神的に大きな支えに。

気をつけていた心構え

  • 「行けなかったら帰ればいい」と考える
  • 発作が出たら「死なない」と思い出す
  • 無理して楽しもうとしない
  • 「今日は何かひとつ楽しめたらOK」とハードルを下げる

そして、最も大切だったのは…

「できないことを無理にやらなくてもいい」と自分に許すこと
これを心に決めてから、少しずつディズニーが「怖い場所」ではなく「大丈夫な場所」に変わっていきました。


8. 周囲の理解が支えになった|友達との関係

私がディズニーにリハビリとして通えるようになったのは、周囲の理解と支えがあったからこそでした。


家族の協力

初めてのディズニー挑戦は、親が付き添ってくれました。
電車の中でもずっと隣にいてくれて、「大丈夫だよ」と声をかけ続けてくれたことは、今でも忘れられません。


友達のやさしさ

体調が少しずつ回復してきた頃には、友達もリハビリに付き合ってくれるようになりました。

  • 私の地元まで来てくれた
  • 電車は各駅停車で時間を調整してくれた
  • 「今日は乗らなくてもいいよ」「外で座って話そう」と言ってくれた
  • DASで案内されるときも「全然気にしないで」と言ってくれた

「できないことを責めないでいてくれる」
──それだけで、どれほど安心できたか分かりません。


付き合う相手を選ぶことも大切

正直なところ、「元気な自分」を期待されるのが怖くて、会うのをやめた人もいます。
でも、自分にとって本当に安心できる相手とだけつながることで、心がすごくラクになりました。


心の病は目に見えないからこそ、周囲のサポートがとても大きな力になります
支えてくれた人たちに、心から感謝しています。


9. まとめ|できることから少しずつ

私は、パニック障害とうつ病を抱えながら、
「ディズニーに行きたい」という気持ちを支えに、少しずつ外に出る練習をしてきました。

  • 最初はアトラクションに1つも乗れなかった
  • でも、少しずつ「できること」が増えていった
  • DASのようなサポートや、家族・友人の理解に助けられた

「どうしてそこまでしてディズニー?」と聞かれることもあるかもしれません。
でも私にとっては、**“生きる希望”や“自信を取り戻す場所”**だったんです。


最後に

この記事が、「自分も何か挑戦してみようかな」と思えるきっかけになれば嬉しいです。
パニック障害でも、うつ病でも、楽しめることはきっとある
そして、無理しなくてもいい。
自分のペースで、できることからひとつずつ。


次の記事では、DASを使った具体的なアトラクションの体験や、持ち物リスト、リハビリとしての活用のコツなどを紹介する予定です。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました