――「今日また生きられた、それだけで満点」
この章では、私がいまどんなふうに日々を過ごしているかをお伝えします。
病気の真っ只中にいた頃と比べたら、たしかに私は変わりました。
でも、「元通り」ではありません。
完璧じゃなくても、毎日生きていられる。それだけで十分だと、今の私は思えるようになりました。
「もう治ったの?」「今は元気になったの?」
そんなふうに聞かれることが増えてきました。
うまく答えられない自分がいて、言葉に詰まることもあります。
たしかに、毎日泣いていた頃と比べたら、私は変わりました。
寝たきりだった日々、息をするのもつらかった時期からすれば、
仕事もできて、外出もできて、少しずつ前を向けるようになりました。
でも、だからといって「完全に元に戻った」わけではないのです。
そもそも、“元に戻る”というのはどういうことなんだろう。
病気になる前の私が「本来の自分」だとしたら、
そこに戻ることが回復なのか?
違う気がしています。
今の私は、あの頃のように無理をしません。
疲れたら休む。怖かったら一度立ち止まる。
「できないこと」があっても、前ほど自分を責めなくなりました。
だから、「元に戻る」というより、
「新しい私として生きていく」ことが、私にとっての回復なのだと思っています。
今は、週3日だけパートの仕事をしています。
家で経理の仕事を手伝ったり、自分のペースで過ごしています。
正社員だったころのようなプレッシャーも、
“完璧でなければ”という焦りも、今はありません。
もちろん、たまに「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまう瞬間はあります。
でも、そんな自分にも「いいよ、それでも」と声をかけられるようになりました。
SNSやブログで、自分の体験を発信するようになったのも、
「誰かの役に立ちたい」という気持ちが出てきた証拠かもしれません。
“伝えること”は、過去の私を癒すことでもあります。
「こんなに苦しかった私が、ここまできたよ」と、
昔の自分に教えてあげたくて、書いています。
時々、不安になります。
「また具合が悪くなったらどうしよう」
「このまま、何も変わらなかったらどうしよう」
でもそれでも、「今日、生きられた」
それだけでいいと、今は思えています。
70点でも、50点でも、0点の日があっても、
生きているだけで、私は合格。
完璧じゃない私を、今の私は、ちゃんと認めてあげられる。
それが、何よりの“回復”なのだと思います。